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『自分にとっての理想の姿勢と仲良く』 千鳥八雲/舞踊家

 姿勢、というと、きちっとした一つのイメージに即つながってしまう、そんな方が多いかもしれません。それは、これまでの「姿勢」というものに対する日本人の考え方が引き継がれているから・・・かもしれません。

 でも本来姿勢は刻々と変わっていくものです。
 重力や、立っている足元の状態、座っている椅子、持ち物、作業の内容、疲労度など様々な影響を、その時その時身体の中で調整しながら、姿勢は作られていきます。

 それぞれの瞬間において自分の姿勢はどうなっているのか、そんな考え方、捉え方が大切となります。
そしてその際に、様々な姿勢の時に理想の基準となるポイントがあります。

 多くの研究の進歩により、他の動物との違いは何か、重力の影響はどのように起こっているか、身体の中がどのようになっているから表にその状態があらわれるのか、そういった知識がより多く手に取れるようになってきました。
自分のことなのに「ちょっと開いて確認してみよう」とはいかない、身体の状態を知ることができる知識もまた、私達が理想の姿勢をつくるのに心強いガイドとなってくれます。

 そして、姿勢を理想的な状態にするのにはもう一つ必要な要素があります。
それは、自分で感じること、自分で身体を動かして時間をかけて感覚を養っていくことです。この感覚もさまざまな影響に流されてしまう身体を引きとめて、楽にしてくれる強力なガイドです。
ダンスや舞踊等の身体操作の場では、『感覚』というガイドを自分の中に養っていくことに長い時間をかけていきます。そして同時に「これだ!」という感覚を導くために必要な『外側からの観点』も長い時間と経験をかけて身についていきます。
施術として姿勢に取り組むボディワークでも、視覚や触覚といった感覚の知識の積み重ねが、それぞれの分野で培われてきていることと思います。

 一人一人の中にあり、なかなかエッセンスとしてまとめられることのなかったこういった知識や感覚を集め、より分かり易い形として世の中に発信していけたら、そして自分にあったものを見つけ、自信をもって「自分にとっての理想の姿勢」を生み出せている人がひとりでも多くなってほしい・・・日本姿勢学会が、そういった想いを持つ人々が交流し、より知識を高め合っていける場にもなれるのではないかと思っています。

 世の中に多くあふれる良い知識達を、自分の感覚で試してみる、そして街ゆく一人一人の人が、自分の姿勢と仲良くより元気に晴れやかな心でいられること、日本姿勢学会がその一助となるよう願っています。

千鳥八雲
舞踊家/MOVEMENT DESIGN主宰/美術解剖学会会員/日本姿勢学会理事。舞踊家・研究者として、より良い表現を追求する。
舞踊や音楽、解剖学、健康教育の専門家とともに、動き作りの視点から研究・アドバイス等の活動を行う。
学習院大学哲学科卒業。幼少時劇団若草に所属。帝国劇場、宝塚劇場など舞台での演技経験とともに、日本舞踊、クラシックバレエ、モダン、ジャズ、といったダンスを経験。コンテンポラリーダンス、社交ダンス、エジプシャンダンス、日本古来の舞である舞楽、ヒップホップやアニメーション等ストリートダンスを経て、自力整体・骨盤調整等を学び、解剖学や比較解剖学などに関心を持つ。様々なダンス・演劇などの身体活動経験に解剖学などの知識を加えたMOVEMEN TDESIGNを主宰、アーティストのPVや音楽ライブでのダンスコラボレーション、個人レッスン・ワークショップなどを行う。日常動作にはじまり、様々な表現活動および伝統芸能の存続発展、武術等にも関心を持つ。

2010年 和DanceUnit HANNARIC結成
2012年 第19回美術解剖学会大会に於いて『帯結びにより生まれる動きの美しさについて』発表
2013年 BABYMETAL PV『MEGITSUNE』日本舞踊パート出演
2013年 第20回美術解剖学会大会に於いて『頚椎・胸椎に関連する筋の収縮と弛緩によって生まれる表現の美しさについて』発表
2013年 Sword of the Far East ワンマンライブコラボレーション出演 等
ホームページ『動きとカラダのレッスン MOVEMENT DESIGN』https://sites.google.com/site/movementdesignj/
ブログ『MOVEMENT DESIGN』http://chilitokyo.blog3.fc2.com/


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