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『理想の姿勢教育が失われてしまった日本を思う』 マイク 小西/ゴルフティーチングプロ

子供の遊び 私は、プロを主体としてゴルファーをコーチすると言う仕事をして30年を越えようとしている。
この職業に専念する前に13年を費やしてゴルフのスイング理論「SNSメソッド」を構築した。
スタディーの中で、人間のあらゆるパフォーマンスを上げて行くには理想的な姿勢が望ましい事が分かって来た。運動能力ばかりではない。マインドのあり方、血流、リンパの流れ等にも大きな影響を及ぼすのが姿勢であったのだ。
その関係から、姿勢に関しては大きな関心をいだいていた。

 2004年であったか。来日したおり新幹線で大阪から東京に向かった時の事、夜遅く新横浜に停車した。薄暗いホームを多くの人達が下りエスカレーターに向かって歩いている姿を車窓から見ていて愕然とした。一人の例外もなく全員が背を丸めノソノソと歩いていたのだ。昔(映画で)見たアウシュヴィッツのガス室に向かう人々の行列とイメージが重なってしまったのだ。こんな事があっていい筈がない。日本はいったいどうしてしまったのだ。

 以降、日本の人々の姿勢に注意するようになって気付いたのだが、現在の日本の教育の中に、姿勢を良くすると言うテーマが見当たらないではないか。
ある日NHKテレビで、文科省が子供達の体力測定をした結果が特集で放送されていた。1985年から2005年の20年の間の変化についてであった。男女別であったが、あらゆる種目で著しい後退を示していたのには驚き以外の何物でもなかった。

 そんな中、2歳から3歳位の子供が遊んでいる時の自然な振る舞いを見ているとホッとする。
まだ筋力が十分ではなく頭が大きな子供は、引力に逆らって真っすぐに立っていられる骨の位置(関節の位置関係)を自然に確保しているのだ。積み木を倒れないように高く積み上げているのと同じ事なのだ。が、筋力が付いて来た少年期に入るとそれらが失われていっている事が顕著に見られる。

 人間が地球上で生活する為の絶対必要条件と言っても過言ではない、良い姿勢、理想とする姿勢が教えられていない子供達は、未熟な教育の被害者ではないだろうか。では、加害者は?
それを教えて来なかった、学校教育であり、親たちであり、社会ではないだろうか。間違いに気付いたら直ぐに訂正する事が大切。社会が一丸となって子供達の姿勢を良くしてあげなければならないと思う。
見本を示す大人達も然りである。

マイク小西
1945年生まれ、米国籍。9歳の時よりゴルフを始める。ゴルファー個人の勘や経験をもとにして説かれる古典的なスイング理論に疑問を抱き、人体の骨格、筋肉、神経、脳、運動システム等を勉強。36歳で、世界をリードする独自のゴルフスイング理論「SNSメソッド」を築き上げる。その後、米国に移住。米国PGAやLPGAのプロ達をはじめ多くの若者達を指導する。1992年レッスンオブザイヤーを受賞。
近年、訪日中に日本の子供達の運動能力の極端な低下、及び姿勢の悪さに起因する健康障害、精神障害を憂い、日本にて新たな活動姿勢を正す姿正論、『姿正道Shi-sei-dou』提唱者 Mike Konishi を始めている。
著書に『ゴルフボディターンバイブル-世界に通用するスウィングがある!』(ゴルフダイジェスト社)、『DVD マイク小西 究極のボディターンバイブル Part1』『DVD マイク小西 究極のボディターンバイブル Part2』(ゴルフダイジェスト社)など


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